社内貯金制度
社内貯金制度とは従業員に支払う給料の一部を天引きして会社に預ける制度です。
運転資金に困っている企業は興味を持たれるケースもありますが、大企業に採用されることが多く中小企業への適正は低いです。
なお、会社独自にルールを決めることはできず、厚生労働省の定めた規則の中で実施しないといけません。
社内貯金制度の仕組み
社内貯金制度は金利を0.5%以上にする決まりがあります。
超低金利時代で銀行にお金を預けてもほとんど利息を得られない中で従業員は銀行よりも会社へお金を預けた方が効率的に資産形成できます。
また定期積立貯金の原理で給料から天引きすることで、従業員は浪費の抑止にも繋がり確実に貯金できます。
企業は従業員のお金を管理することでキャッシュフローがよくなり短期的な資金調達で金融機関を利用する頻度を少なくできます。
従業員の貯金に払う0.5%以上の金利は金融機関からの借入よりも安いので企業側もメリットは大きいです。
企業側の注意点
社内貯金制度は従業員に強制することはできず、あくまでも任意で実施しないといけません。
従業員から見ても、銀行に比べて会社は信頼性に欠けます。大手企業であればある程度信用できますが、創業間もないベンチャー企業はいくら利率が良くてもリスクを感じて敬遠されてしまいます。
また、社内貯金はいつでも引き出しできるように義務付けています。
社内貯金を事業の運転資金(仕入れなど)に使ってしまい、会社に現金のない時でも従業員からの引き出しに応じないと労働基準法違反になります。
つまり、ある程度の信用力と資金力のある会社でないと利用する価値は低く、何よりも利用する従業員を集められないデメリットがあります。
また、大手と違い中小企業は社員の定着率が低いため、社内貯金を頻繁に解約されるリスクもあります。
大手でも利用者は少ない
2007年のリーマンショックや、2011年の東日本大震災、また近年も続く家電メーカーの不振など、今や大手でも10年後の未来は分からないと思っている方も多いです。
社内貯金で一番懸念されるのは預け先でもある会社の経営不振や倒産、債務超過です。
社内貯金は金融機関の保証を受けるなど保全を取られていることもありますが、貯金は事業資金で使っても良いルールになっていて返金義務は倒産すると効力を失ってしまいます。
また、会社の倒産する時は金融機関をはじめ多額の負債を抱えているケースが多いです。
会社が倒産すると事業や資産を売却して精算しますが、金融機関など会社が融資として借入している部分への返済を優先され、社内貯金の保証は優先順位が低くなります。
最近では日経平均株価も好調なことから、社内貯金よりも投資信託などを利用する人が増えています。